2016年5月9日月曜日

ズバリ!!解説

ズバリ!!解説シリーズ第10弾

いま注目の「小規模多機能型居宅介護」をズバリ!!解説



「小規模多機能型居宅介護」は平成18年に創設された比較的新しい介護サービスです。

小規模多機能型居宅介護の前身は「宅老所」と言われ、多くは民家を改築し、そこへ通ってもらったり、お泊りをしたりすることができるものでした。
それまでの通える施設としては、デイサービスがありましたが、1日に何十人も受け入れる施設が多く、認知症の方への介護が十分に行えていなかったのが現状です。
その結果、認知症の方は住み慣れた自宅を離れ、施設へ入所しなければならなくなっていきました。

「宅老所」はそんな方たちを最期まで自宅で生活できるよう通える場を提供し、時にはお泊りもできるサービスを展開していきました。
その取り組みが評価され、介護保険が使える介護サービスとして「小規模多機能型居宅介護」が誕生しました。


「小規模多機能型居宅介護」はそのネーミングの難しさから一般での知名度が低いことが問題となっていますが、『小規模』『多機能』『居宅介護』の3つに分けるとイメージしやすいのでひとつずつ解説していきます。

『小規模』はサービスの定員が少人数で、1日に通える人の定員を18名までと限定し、ひとつの施設に最大29名までしか登録できないようになっています。

『多機能』は、通いと訪問、宿泊がひとつの施設で行え、食事や家事などの生活援助から身体介護までも行うことができます。
従来のサービスでは、通いのデイサービスや訪問のホームヘルパー、短期間宿泊のショートステイが別々で、デイサービスの日はA施設へ行き、ホームヘルパーはB事業所のヘルパーが来て、ショートステイはC施設へ行くというのが一般的でした。
介護保険ではそれぞれのサービス事業所と契約を締結し、介護計画を作成・同意する必要がありますのでA施設からC施設までで同じ手続きをする必要があります。
しかし、小規模多機能型居宅介護ではすべて同じ施設で行えるため、手続きも1回で済みます。
それ以上にヘルパーとも顔なじみの関係になれることが特徴です。
また、利用する人も普段行き慣れているデイサービスで宿泊できることから宿泊に抵抗が少ないのも利点となります。
さらに、時間よる縛りがないため「通い」では「入浴だけ」「食事だけ」といった通い方や、「訪問」では「ご飯を食べたか」「薬を飲んだか」「火の始末は大丈夫か」といったちょっとしたことでも対応できます。
自宅での生活を「多機能」なサービスで支える仕組みです。

『居宅介護』は「居宅介護支援」というもので、自宅で自立した生活が送れるようケアマネージャーがご本人やご家族と一緒に介護計画(ケアプラン)を作成します。
登録している小規模多機能型居宅介護のケアマネージャーが担当することで、日頃の様子や必要とされているサービスを見つけやすく、また、ケアマネージャーとも顔見知りの関係になりやすいという利点があります。



ご存知の通り、2025年問題に代表されるようこれからの日本は3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢者社会を迎えます。
財務省の試算によると65歳からはじまる医療保険や介護保険、年金の社会保障給付費が増大するため、65歳以上の方1人を20歳から64歳までの1.8人が支える試算となります。
平均寿命が延びている中、65歳を高齢者とするのに賛否はあるようですが、生まれてから65年使い続けている体ですので当然病気に罹りやすくなったり、筋力が衰え怪我をしやすくなったりし、若年者に比べ医療や介護を求めることが多くなります。
しかし、高齢者の数に対し、医師、看護師、ヘルパーの数や病院のベッド数、介護施設の数は不足しているため、今後は介護が必要になったときに地域で支える仕組みが重要となります。
これが国の進める『地域包括ケアシステム』です。
すでに特別養護老人ホームでは要介護度3以上(※)と限定し、軽度者は入居できなくなっています。
※認知症や障害により日常生活が困難な場合や虐待が疑われる場合は除外となる場合もあります。
また、デイサービスも利用定員の少ない小規模通所介護は『地域密着型サービス』へ移行され、デイサービスのある市に住んでいる住民しか利用できなくなりました。
「病気になったら病院へ」「介護が必要になったら介護施設へ」ではなく、可能な限り住み慣れた自宅・地域で医療や介護が受けられる仕組みづくりがすでに始まっています。


小規模多機能型居宅介護は、住み慣れた自宅・地域での生活を続けられるよう「通い」「訪問」「宿泊」を多機能なサービスで支えることができる介護サービスで、『地域包括ケアシステム』において重要な役割を担うことが期待されています。


ズバリ!!

小規模多機能型居宅介護は自宅での生活を支援する

次回は
「こんなにあるの?『高齢者入所系施設』」をズバリ!!解説します。

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