2016年4月10日日曜日

ズバリ!!解説

ズバリ!!解説シリーズ第9弾

「軽度認知障害」をズバリ!!解説



軽度認知障害はMild Cognitive Impairmentの頭文字をとって「MCI」とも言います。

Mildは「穏やか」、Cognitiveは「認識」、
Impairmentは「害する」という意味があることから、「穏やかな認知症」と訳すことができるでしょうか。


認知症は「脳の器質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態」とされています。

これに対し、軽度認知障害は「記憶機能やその他の認知機能が低下した状態」ではありますが、「日常生活に支障がない」状態です。

つまり、日常生活に支障がなければ「軽度認知障害」、支障があれば「認知症」となり、認知症と健常者の中間にあたる状態と言えます。

軽度認知障害の症状を放置しておくと「認知症」へ移行する可能性が高いことから「認知症予備軍」とも言われています。

では、軽度認知障害とは具体的にどのような状態なのでしょうか。

まず「記憶機能やその他の認知機能が低下した状態」とありますが、「記憶機能が低下した状態」とは「馴染みのあるものや人の名前が思い出せない」「つい最近のことを忘れてしまう」状態です。

記憶機能は年齢とともに衰えていきますので、一概に忘れることが記憶障害とは言えませんが、年齢や性格などからでは説明できない程度の記憶障害が存在しています。

記憶は「記銘」「保持」「想起」の3つから成り立っています。

「記銘」は覚えること、「保持」は記銘したことを覚えておくこと、「想起」は保持したものを思い出すことです。

このうち、認知症などによる記憶障害は「記銘」することが衰え、老化による記憶障害は「保持」「想起」が衰えます。

「記銘」はものを覚えることですから、認知症では「ものを覚えること」が難しくなり、老化の場合は「思い出すこと」が困難になります。

つまり、覚えられないのが認知症で、思い出せないのが老化によるもの忘れです。老化によるもの忘れは、思い出せないだけで覚えていますので、ヒントがあれば思い出すことができます。

しかし、認知症の場合は覚えていませんのでヒントがあっても思い出すことができません。


次に「その他の認知機能が低下した状態」は、人や場所・時間・日付がわからなくなったり、話をしている会話の内容が理解できなくなったりします。

また、服を着たり料理をしたり、今までは正しく行えていた動作ができなくなることもあります。

このような状態があっても日常生活に支障がない場合は「軽度認知障害」と言えますが、「日常生活に支障があるかないか」は人や環境によって異なります。

よって、軽度認知障害には明確な診断基準が存在しません。

診断基準がないが故に早期発見と治療が必要になるのです。

早期に発見するメリットは、自身の体で何が起こっているのか正しく理解することにあります。

記憶障害やその他の認知機能が低下していたとしてもその状態が必ず軽度認知障害や認知症であるとは言えません。

その場合、早期に発見・治療することで治る場合もあるからです。

また、軽度認知障害であったとしても、進行を遅らせる薬物治療や生活習慣を見直すことで認知症への移行を予防することができます。


軽度認知障害と診断されたからと言って、すべての人が認知症に移行するわけではありません。

自身や家族に少しでも「おかしいな」と思うことがあれば、早めに専門医へ相談しましょう。


ズバリ!!

~早期発見、早期治療で認知症の移行を予防できる~

次回は、いま注目の「小規模多機能型居宅介護」を
ズバリ!!解説します。


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